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2011年2月 7日 (月)

ドーム規定「運転操作は社員」

 東京都文京区の東京ドームシティアトラクションズで、コースターから羽村市の会社員倉野内史明さん(34)が転落し、死亡した事故で、20代女性アルバイトが担当していた運転操作について、東京ドームは社員がするよう規定していたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。
 以前に担当だった従業員は警視庁捜査1課の事情聴取に「安全バー締め付けのクレームがあり、目視確認のみになった」と話しており、同課は同社が規定から逸脱した体制を続け、安全を優先させていなかったとみている。
 捜査関係者によると、同社のコースター運行規定では「運転者は社員か契約社員」と定められ、バイトは「補助者」という位置付けとされていた。
 実際は約半年前から、女性バイトが座席の安全確認と発車ボタンを押す運転操作を任されていた。巡回していた女性契約社員は10カ所の遊具を担当しており、常駐の社員はいなかった。(時事通信)
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110207-00000048-jij-soci

 この事故に関する最近の報道は、論点がずらされているとしか言いようが無い。真の問題は東京ドーム側の管理責任であり、まるで担当していたアルバイトが全て悪いかのような言い方をする報道が多く見受けられる。また、アルバイトの年齢や性別まで付け加えて報じる意味がどこにあるのか。単に「アルバイトが」と言えばいいのに、わざわざ「20代女性アルバイトが」と言う。これこそ、マスコミによる印象操作の典型だ。

 今度の事故の単純な原因は、バーがロックされていなくてもコースターが発車してしまうという仕様だったことだ。ならば、バーがロックされなければ発車できないようにする、というのが明快な解決策だ。担当するのが社員だろうがアルバイトだろうが、このシステムさえあれば今度の事故は防げたものだ。それ以上追求することは無い。

 もちろん、バーは手で押して確認するという社内規定があったのは言うまでも無い。問題は、これが実際は守られていなかったことである。では、その責任は誰にあるのか。現場従業員の教育を管理する社員ではないのか。こんな杜撰な社員が運転操作をするのが社内規定でしたと言われても、ちゃんちゃらおかしい。

 また、このようなケースで真っ先によく言われるのが、派遣社員やアルバイトを雇って人件費を削減する企業体質は改善すべきだ、ということだ。しかし、これはまったく的を射ていない。お門違いもいいところである。例えば日本最大のテーマパークである東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドを例に挙げれば、従業員の大半がアルバイトだ。ひとたびパークに足を踏み入れれば、社員を探すことの方が難しい。しかし、同社は社員がマニュアルに従って、責任を持って徹底的に教育をする。実際、同社で社員・アルバイトに根本的原因のある重大事故は発生していない。要は、雇われたアルバイトが悪いのではなく、しっかりとした教育のできない社員に問題があるのだ。

 今回の事故の当事者となったアルバイトは、自分の担当する現場で事故が起き、死者が出たことで相当のショックを受けているはずだ。この先、彼女をますます追い詰めるような報道は慎まれるように祈りたい。また、亡くなられた倉野内さんには、心よりご冥福をお祈りする次第である。

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